トライアル&エラーを繰り返して技術を高める
当社は印刷された1枚1枚の紙から本を作る製本会社です。私は「並製本」(ソフトカバーの本)を製造する部署に所属し「貼り込み」業務を担当しています。最終的な本の形になる前の工程で、本の中身となる紙に、表紙とつなげるための「見返し」と呼ばれる厚紙などを糊で貼り付けます。午前と午後の温度・湿度の変化により紙のクセが変わってズレが生じることもあり、貼り込みには細心の注意が必要です。常にトライアル&エラーを繰り返して技術を高めています。
情報保存の一番の媒体は本
大学の講義で古書に触れる機会があり、数百年経っても形を保ち、書かれた内容を後世に伝えてくれることに感動しました。恩師も常々「情報を保存する一番の媒体は本だ」と話されていたので、紙の本そのものに興味を持っていました。本に関わる仕事がしたいと就活する中で、製本業界と当社を知りました。製本は製品(本)を確かな形につくり残す仕事。その中でも当社は「クータ・バインディング」などの自社開発技術を持つ、技術力の高い会社だということが大きな魅力でした。
自分が手がけた本と出合った時のやりがいと誇り
貼り込み作業は、紙の質やクセの見極めはもとより、糊の硬軟や機械の調子、紙の汚れやズレの有無などにも気を遣います。紙の質を考慮して機械の調節を行い、ズレも汚れもなく貼り込みができた時には、パズルのピースがかみ合ったような達成感があります。書店に行っても、その本がどうやって作られているのか気になって眺めたり、作るのが大変だっただろうなと想像したり。自分が手がけた本と出合うこともあり、そんな時には大きなやりがいと誇りを感じます。