製本実績

『COMPOST vol.01』

渋谷文泉閣の特許技術
「PURコデックス装」で製本した本です。

ご依頼の中で、表と裏のペラ表紙は、
1枚のシートに付け合わせた
「ペア」の版画として刷られているため、
1冊の本になった時にそれらが別々の本にならず、
元の「ペア」のままで仕上がるようにして欲しい、
とご要望をいただきました。

コデックス装では通常、
表裏の表紙は切り離し(ペラにし)、
それらを「表」表紙は1折に、
「裏」表紙は最終折に貼り込み、
丁合作業からくるみという工程を経て仕上がります。

しかし通常の作業工程では、
版画で刷られていた時の「ペア」に
組み合わせるのは難しく、どうすれば可能なのか、
関係する現場の担当者と話し合いを重ねました。
その結果、

【1】
表紙を断裁する際、
順番がわかるように目印を付け、
かつ50枚ごとに別紙を挟む

【2】
貼り込みをせず、
表裏の表紙は単独で(ペラのまま)丁合機にかける

【3】
丁合作業の際、
「表」表紙を担当する人と
「裏」表紙を担当する人は、
【1】で挟んだ別紙を基準に、
作業の順番にズレがないか、
お互いに確認を取りながら進行する

という方法を採用し、
見事、表と裏の表紙が全て「ペア」になるよう
製本できました。

各工程間での情報共有と連携が、
上手く機能したからこその結果だと思います。

本作品は「第54回 造本装幀コンクール」にて、
審査員奨励賞を受賞しました。